- 子宮頸がんとは
- 子宮頸がんの主な症状は?初期症状はある?
- 子宮頸がんの原因
- 子宮頸がんになりやすい人の特徴
- 子宮頸がんのステージ
- 子宮頸がんの検査・治療方法
- 子宮頸がん(HPV)ワクチンで予防しましょう
子宮頸がんとは
子宮頸がんとは、子宮下部の管状の部分である子宮頸部の上皮(粘膜)から発生するがんです。40〜50歳代に最も多い病気ですが、最近は若い世代の女性に増えてきており、20~39歳の女性の中で最も多いがんになっています。
国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、そのうち約3,000人が死亡しています。近年では患者数も死亡率も増加傾向にあります。
子宮頸がんの主な症状は?
初期症状はある?
子宮頸がんの初期では無症状であるケースも少なくありません。
進行すると以下のような症状が現れることがあります。
- 月経時以外の不正出血
- 性交時の出血
- おりものの異常
- 下腹部や腰の痛み
- 血便・血尿
- 足のむくみ
など
子宮頸がんが進行すると、月経中でない時や性交時の出血、においを伴う濃い茶色や膿(うみ)のようなおりもの、水っぽいおりものや粘液がたくさん出るなどの症状が見られることがあります。がんが子宮の外に広がると、多量の出血、骨盤や下腹部、腰の痛み、尿や便に血が混じる、下肢のむくみなどの症状が出ることもあります。
1つでも当てはまる時には、お早めに京都市右京区の西院レディースクリニックへご相談ください。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であることが判明しています。
このウイルスは性交渉によって感染するため、一度でも経験された方であれば感染している可能性があります。感染すると通常は自己免疫によってウイルスは排除されますが、約10%の割合で感染が持続し、さらにその一部が前がん病変、子宮頸がんへと進行します。
子宮頸がんになりやすい人の特徴
子宮頸がんの原因であるHPVは性交渉によって感染するので、誰にでもリスクがあります。また、喫煙も子宮頸がんのリスクを高めることがわかっています。
子宮頸がんにかかる
リスクが高い人
- 妊娠・出産の回数が多い
- 性交渉の経験が多い
- 初交年齢が低い
- セックスパートナーが多い
- 喫煙歴がある
など
子宮頸がんのステージ
ステージの種類 | 内容 |
---|---|
ステージⅠ A | (ⅠA1期) 組織学的にのみ診断できる浸潤がんで間質浸潤の深さが3mm以内、縦軸方向の広がりが7mmを超えないもの |
(ⅠA2期) 間質浸潤の深さが3mmを超えるが5mm以内、広がりが7mmを超えないもの | |
ステージⅠ B | (ⅠB1期) 臨床的に明らかな病変が子宮頸部に限局するもの または臨床的に明らかではないがIA期を超えるもので病変が4cm以内のもの |
(ⅠB2期) 臨床的に明らかな病変が子宮頸部に限局するもの 病変が4cmを超えるもの |
|
ステージⅡ A | (ⅡA1期) がんが腟壁に広がっているが、子宮頸部の周囲の組織には広がっていないもので、病変が4cm以内のもの |
(ⅡA2期) がんが腟壁に広がっているが、子宮頸部の周囲の組織には広がっていないもので、4cmを超えるもの | |
ステージⅡ B | がんが子宮頸部の周囲の組織に広がっているが、骨盤壁まで達していないもの |
ステージⅢ A | がんの腟壁への広がりは下方部分の1/3に達するが、子宮頸部の周囲の組織への広がりは骨盤壁にまでは達していないもの |
ステージⅢ B | がんの子宮頸部の周囲の組織への広がりが骨盤壁にまで達しているもの、または腎臓と膀胱を繋ぐ尿管ががんでつぶされ、水腎症(すいじんしょう)や腎臓が無機能となったもの |
ステージⅣ A | 膀胱や直腸の粘膜へがんが広がっているもの |
ステージⅣ B | 小骨盤腔を越えて、がんの転移があるもの |
子宮頸がんの検査・治療方法
検査
子宮の入口を綿棒などで擦り、採取した細胞を検査する「子宮頸部細胞診」を行います。細胞診の結果、異形成やがんが疑われる場合は、拡大鏡で観察しながら組織を採取して「組織診」を行います。これにより、異形成、がんの診断を行います。
子宮頸がんと診断された場合には、超音波検査、CT検査、骨盤MRI検査などによって、周囲の組織への拡大や、リンパ節・他臓器への転移の有無を調べて、ステージが決定されます。
治療
治療方法は、がん進行のステージはもとより、患者さんの年齢、将来的な妊娠の希望の有無、持病の有無や種類などによって決定されます。ご自身に合った、納得できる治療方法を選択することが大切です。
【進行期(ⅠA1期)】
■子宮頸部円錐切除術(または単純子宮全摘術)
子宮頸部円錐切除術は、将来的な妊娠・出産を希望している場合に、子宮を温存するために行う手術です。妊娠・出産は可能ですが、子宮頸部が短くなることで早産や妊娠しにくくなるリスクがあります。
【進行期(ⅠA2期〜ⅡB)】
■広汎子宮全摘術、準広汎子宮全摘出術リンパ±節郭清±放射線、抗がん剤
子宮、膣、卵巣、および子宮周辺の組織やリンパ節の一部を摘出する手術です。卵巣の一部を保存することが可能な場合もあります。将来妊娠をご希望される場合、子宮頸部とその周囲のみを切除し、子宮体部を保持することもあります(広汎子宮頸部切除術)。手術に加えて、放射線療法や放射線療法に抗がん剤を併用する場合もあります。放射線療法の副作用(消化器系障害、下痢、皮膚炎、腸閉塞など)、抗がん剤の副作用(吐き気、血液毒性、腎毒性など)にも十分に考慮する必要があります。
【進行期(Ⅲ期~Ⅳ期)・再発時】
■放射線、抗がん剤
がんが骨盤内や膣など広範囲に拡がっている場合、または膀胱や直腸に進行し、肺や肝臓に転移している場合、一般的に手術は選択されません。患者さんの総合的な状態や年齢、体力などを考慮して、放射線療法単独や放射線療法に化学療法を併用する治療が選択されます。また、子宮頸がんが再発した場合にも、放射線療法や化学療法が行われますが、局所的な再発であれば手術を選択することもあります。
子宮頸がん(HPV)ワクチンで予防しましょう
子宮頸がんワクチンの接種によって、子宮頸がんの原因の70%を占めるヒトパピローマウイルスの感染を防ぐことができます。また、海外の調査では、子宮頸がんワクチンに子宮頸がんを予防する効果があることが報告されています。
日本では2013年から定期接種化されており、小学校6年生から16歳までの女性は無料で接種が受けられます。加えて、1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性も、2022年4月~2025年3月までの3年間は、公費によって無料で接種が受けられます。