子宮頸がんとは、子宮下部の管状の部分である子宮頸部の上皮(粘膜)から発生するがんです。40〜50歳代に最も多い病気ですが、最近は若い世代の女性に増えてきており、20~39歳の女性の中で最も多いがんになっています。 国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、そのうち約3,000人が死亡しています。近年では患者数も死亡率も増加傾向にあります。
子宮頸がんの初期では無症状であるケースも少なくありません。 進行すると以下のような症状が現れることがあります。
子宮頸がんが進行すると、月経中でない時や性交時の出血、においを伴う濃い茶色や膿(うみ)のようなおりもの、水っぽいおりものや粘液がたくさん出るなどの症状が見られることがあります。がんが子宮の外に広がると、多量の出血、骨盤や下腹部、腰の痛み、尿や便に血が混じる、下肢のむくみなどの症状が出ることもあります。 1つでも当てはまる時には、お早めに京都市右京区の西院レディースクリニックへご相談ください。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であることが判明しています。 このウイルスは性交渉によって感染するため、一度でも経験された方であれば感染している可能性があります。感染すると通常は自己免疫によってウイルスは排除されますが、約10%の割合で感染が持続し、さらにその一部が前がん病変、子宮頸がんへと進行します。
子宮頸がんの原因であるHPVは性交渉によって感染するので、誰にでもリスクがあります。また、喫煙も子宮頸がんのリスクを高めることがわかっています。
子宮の入口を綿棒などで擦り、採取した細胞を検査する「子宮頸部細胞診」を行います。細胞診の結果、異形成やがんが疑われる場合は、拡大鏡で観察しながら組織を採取して「組織診」を行います。これにより、異形成、がんの診断を行います。 子宮頸がんと診断された場合には、超音波検査、CT検査、骨盤MRI検査などによって、周囲の組織への拡大や、リンパ節・他臓器への転移の有無を調べて、ステージが決定されます。
治療方法は、がん進行のステージはもとより、患者さんの年齢、将来的な妊娠の希望の有無、持病の有無や種類などによって決定されます。ご自身に合った、納得できる治療方法を選択することが大切です。
子宮頸部円錐切除術は、将来的な妊娠・出産を希望している場合に、子宮を温存するために行う手術です。妊娠・出産は可能ですが、子宮頸部が短くなることで早産や妊娠しにくくなるリスクがあります。
子宮、膣、卵巣、および子宮周辺の組織やリンパ節の一部を摘出する手術です。卵巣の一部を保存することが可能な場合もあります。将来妊娠をご希望される場合、子宮頸部とその周囲のみを切除し、子宮体部を保持することもあります(広汎子宮頸部切除術)。手術に加えて、放射線療法や放射線療法に抗がん剤を併用する場合もあります。放射線療法の副作用(消化器系障害、下痢、皮膚炎、腸閉塞など)、抗がん剤の副作用(吐き気、血液毒性、腎毒性など)にも十分に考慮する必要があります。
がんが骨盤内や膣など広範囲に拡がっている場合、または膀胱や直腸に進行し、肺や肝臓に転移している場合、一般的に手術は選択されません。患者さんの総合的な状態や年齢、体力などを考慮して、放射線療法単独や放射線療法に化学療法を併用する治療が選択されます。また、子宮頸がんが再発した場合にも、放射線療法や化学療法が行われますが、局所的な再発であれば手術を選択することもあります。
子宮頸がんワクチンの接種によって、子宮頸がんの原因の70%を占めるヒトパピローマウイルスの感染を防ぐことができます。また、海外の調査では、子宮頸がんワクチンに子宮頸がんを予防する効果があることが報告されています。 日本では2013年から定期接種化されており、小学校6年生から16歳までの女性は無料で接種が受けられます。加えて、1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性も、2022年4月~2025年3月までの3年間は、公費によって無料で接種が受けられます。
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